雨の日曜日

宛先もわからないまま

冬の街が明るいなんて

仕事で北海道にきている。これまでも何度か訪れたことはあったけれど、冬の北海道を経験するのは初めてで、寒がりで冷え性なわたしのトランクは防寒グッズでいっぱいだ。

夜はビジネスホテルに帰って、こうしてひとり文章を書いている。今日は一日雪が降っていて、窓から覗く人通りの少なくなった道は、もう白で覆われてしまっている。

寒がりで冷え性でも、冬は嫌いじゃない。朝の空気がきん、と張って澄んでいて、寒さで鼻がつんとしてなんだか泣きたくなる。マフラーもコートもブーツも、だいすきだ。東京に住んでいると雪を見る機会は多くないし、積もるなんてことはまずないといっていい。だから、雪を踏んで鳴る音も、残る足跡も、久しぶりに嵌めた手袋も(ちなみに北海道では手袋は嵌めるのではなく履くというらしい)、なんだかうれしくなってしまう。雪国で生活するのは大変なことも多いだろうけれど、いつか住んでみたいな、そう思えるほど、来るたびにこの街を好きになる。

降る雪がきらきらと光って見えて、どうしてだろうと考える。この街に住む先輩が、気温が低いからだと教えてくれた。テレビやネットではわからなかった。雪が光って見えること、積もった雪の白さで、夜でも街が明るく見えること。雪が白いことは知っていても、冬の街が明るいなんて、知らなかった。

すぐに情報が手に入って、なんでもわかった気になるけれど、本当は知識や想像だけでは補いきれないもの、きっとたくさんある。そうやってこぼれて落ちてしまいそうな日常の小さな欠片たちを、一緒に拾い集めていきたい。きみに見せたい景色が、たくさんあるよ。

二つ並んだ足跡がきっと、どこまでも続いていけばいい。